研究概要 |
あらかじめ金型成形した金属粉末プレフォームを, ガラスカプセル中に真空封入して800°〜1000°Cに加熱後, 圧力伝達媒体のアルミナ粉末と共に耐熱合金を内張りした金型に装填して圧力を付加した. 粉末試料としは粒径44〜74μmのステンレス綱粉を用いた. 試料装填から加圧成形終了までの所要時間は約120秒であり, そのうち圧力付加時間は約60秒であった. 成形プロセスにおける試料温度は, 予備実験において経時変化を測定し, 実際の作業における成形温度を推定した. 低温緻密化の観点からは, 本方法は極めて有効であることがわかった. すなわち, 成形温度および付加圧力がそれぞれ790°Cおよび694MPaあるいは950°Cおよび347MPa, 成形時間が60秒の条件でほぼ完全に緻密な成形体を得ることができた. 一方, 結晶粒組織の形成という観点からみれば, 本方法は強い結晶粒抑制効果を示す. すなわち, 原料粉末の粒子表面が結晶粒界として完全に保存されており, 結晶粒成長した形跡は認められなかった. もう一つの重要な側面は, 圧力の伝達の不均等性である. 当初予想していたよりも, 加圧方向と横方向の変形量の差は大きく, 等方圧付加状態は満足されていないことが明らかとなった. 以上の知見にもとづいて, 高速度綱粉の成形を試みた結果, 常圧焼結に比較してかなり低温で緻密で微細結晶粒を有する成形体を得ることができた.
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