アルミナ粒状体を圧力伝達媒体として用いた擬似等方圧付熱間成形における緻密化と組織形成について実験研究を行った。平均粒径53μmのアトマイズステンレス鋼粉をあらかじめガラスカプセル中に真空封入して、800〜1000℃に加熱後、圧力伝達媒体のアルミナ粉末とともに耐熱合金を内張りした金型に装填して加圧する。本成形過程におけるプロセス条件、すなわち、試料成形温度および成形時間、成形圧力などと、成形密度および成形体組織との関係を明らかにした。成形体を完全に緻密化するための、成形温度および付加圧力の条件を決定した。また、成形過程において組織形成は3段階に分けられることがわかった。すなわち、原料粉の樹枝状組織の溶体化、再結晶過程および結晶粒成長過程である。これらの進行は主として予熱および成形温度に依存している。本成型法においては、円柱状試料の径方向変形量は、軸方向の変形量に比して小さい。両方向の変形量の比は約0.2であった。成形温度1050〜1150℃、成形圧力600〜800MPaの成形条件で、サブミクロンサイズの結晶粒径を有する成形体を得ることができた。成形圧と成形温度の効果をこれまで提案されている緻密比機構の理論にもとづいて解析した結果、塑性流動が本成形法の支配機構であり、塑性流動により達成される限界相対密度に沿って緻密化することが明らかになった。
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