研究概要 |
AE法を応用して、アルミニウムの平面ひずみ引抜き加工を行い、ダイス面と綿材面との間の金属的接触によって発生する応用波を検出、処理し、潤滑状態の評価を試みた。検出信号の処理値とて、リングダウン計数率C、パワースペクトル分析Pとエネルギ発生率Eを用いた。そして、これらと加工後の綿材表面粗さ比Rw,工具面表面粗さ比Rdと摩擦係数μとの対応関係を調べた。その結果、次のことが明らかとなった。 【○!1】リングダウン係数率Cとしきい値電圧Vとの関係から、CはVが大きくなると、直線的 (片対数) に減少する場合と、対物線的 (片対数) に減少する場合とがある。 【○!2】パワースペクトル分析結果から、良好な潤滑状態での応力波は、100〜300KHzの帯域に強さの分布を示す。一方、焼付きの状態での応力波は、100〜300KHzに加え、600KHzを中心とした広い帯域に強さの分布を示し、応力波は瞬時波形となる。 【○!3】エネルギー発生率Eの大きさは、良好な潤滑状態と焼付きの発生・進行を含めて、潤滑状態の評価に応用することができ、焼付きの発生進行時に急激に大きくなる。 上記のAE法による潤滑状態の評価法をもとに、高強度材の加工における潤滑状態の評価を試みると同時に、大きな発熱を伴う条件下でも潤滑機構の解明と最適潤滑油の開発を試みる。高強度材としては、ステンレスの平角線を用い、引抜き速度は100m/sの範囲で実験する。
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