研究概要 |
本研究は, 電気化学的手法により耐熱合金の表面に活性金属(希上類, Zr, Ti, Alなど)-クロム複合酸化物被膜を形成し, 高温における合金の耐酸化性を向上することを目的とする. 昭和62年度においては, まず鉄-クロム合金であるSUS430鋼を試料としてZr(IV), Ti(IV), La(III), Ce(III), Y(III), Gol(III), Al(III)などを含むクロム算溶液中でカソード分極してコンポジット被膜を形成することを目的として実験を行ない, 以下の結果を得た. 1.Zr(IV)-Cr(III)系 ZrO(CH_3COO)_2-CrO_3溶液からZrO_2-Cr_2O_3複合酸化物被膜を形成しうることを見出し, 生成する被膜の組成とカリード電位との関係を明らかにした. また, 被膜を施した試料について, 熱サイクル試験および加速酸化試験を行ない, この被膜がSUS430鋼の耐熱性向上に有効であることを明らかにした. 2.Ti(IV)-Cr(III)系 Ti(SO_4)_2-CrO_3またはK_2TiO(C_2O_4)_2-Ti(SO_4)_2-CrO_3溶液からTiO_2はCr_2O_3複合酸化物被膜を形成しうる条件を見出し, 被膜組成とカソード電位の関係を明らかにした. この被膜によって耐酸化性が向上することもわかったが, Tiの析出量を増すために, さらに検討が必要である. 3.Ce(III, IV)-Cr(III)系 Ce(CH_3COO)_3-CrO_3溶液からCe(III)およびCe(IV)を含む酸化物被膜が得られることを見出しているが, Ceの共析量がまだ十分ではなく, 耐酸化性試験の段階には至っていない. 4.Al(III)系については極めて有望な溶液を見出しているが, La(III)その他については, Zr(IV)などのようには析出いないことがわかり, 溶液組成についてさらに検討中である.
|