前年度においてはZr、Tiなどを含む複合酸化物被膜を形成する方法を確立したが、今年度は、耐熱合金の耐高温酸化性の向上により有用な希土類(Y、Laなど)を含む被合酸化物被膜を形成する目的で研究を行った。前年度の結果をもとに、希土類イオンを含むクロム酸溶液から電解法でコンポジェット被膜を得るため、まず電解条件、次いで、熱処理条件の検討を行い次の結果を得た。 (1)PH=2〜3の微酸性のLa(III)-Cr(VI)溶液中で、カソード分極を行うと電極上にLa(III)-Cr(VI)オキシ水酸化物の被膜を形成できる。Zr、Tiなどの場合と異なり、強酸性では希土類元素を多量に共析できない。共存アニオンとして、酢酸イオンは適さないので硝酸塩、アンモニウム塩などの化合物が良い。 (2)溶液組成、PH、電解電位、電解時間をコントロールすることによりLaOH(CrO_4)×H_2Oの組成の被膜を再現良く形成できる。 (3)熱分析の結果、この水酸化物被膜は大気中600°C付近から熱分解(還元)してペロブスカイト構造のランタンクロム複合酸化物、LaCrO_3、に転換することがわかった。 (4)LaCrO_3は、一連の希土類クロム複合酸化物中最も高融点(m.p.2750K)であり、高温での酸化や腐食に対する高い抵抗性を持つのでこの酸化物被覆はステンレス綱の耐高温酸化性の向上に極めて有効である。SUS304およびSUS430綱において、水蒸気を含む大気中で加速酸化試験を行った結果、被覆していないものの10倍以上の長時間酸化しても質量変化がなく、また、900°C20h-室温4hの繰り返し酸化試験でも20回以上耐えうることを見出だした。 (5)類似の方法でYCrO_3被膜
|