TiAl二元系合金の室温機械的性質におよぼすTi/Al比および純度の効果を研究した。1.Ti/Al比の効果:Tiリッチ合金の強度はAlリッチ合金のそれよりも高い。Tiリッチ合金の破壊ひずみは、約1.8%であり、Alリッチ合金のそれの0.6%と比較すると格段に大きい。2.純度の効果:99.91%純度のTiと99.99%純度のAlを素材としてTi-48at%Al合金を溶製し、引張試験を行うと、引張破断ひずみが2.7%まで改善された。この合金の変形前後の組織を観察すると、数多くの双晶と、板状の第二相(Ti_3Al)のラメラー組織が観察された。光学顕微鏡観察により、第二相に平行、第二相を貫通するべり線および第二相にブロックされるすべり線が観察された。しかし、第二相とすべり線の交点でクラックは全く観察されず、第二相とマトリックスの整合性のよさが延性増大の一因と考えられた。引張軸に45°傾いた粒界で孤立したクラックが観察され、このような粒界クラックが粒内へき開破壊の起点となると推察された。第二相の存在する合金と存在しない合金の両者で、破壊機構が等しく、転位の集積で破壊が生じると仮定して解析すると第二相の存在する合金の延性が、第二相の存在しない合金のそれよりも小さくなるという結果を得る。X線測定によると、第二相の存在する組成範囲においても格子常数が連続的に変化していた。本合金はTiリッチの組成の合金程延性が大きいことと上記の解析の結果を合わせた考察の結果、第二相共存合金中のマトリックス(TiAl)相は、10%近い延性を持っている可能性があることが予測された。
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