研究課題/領域番号 |
62550513
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
金属材料
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
福永 俊晴 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (60142072)
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研究分担者 |
三沢 正勝 高エネルギー物理学研究所, 助教授 (80005941)
甲斐 鎌三 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (40005947)
鈴木 謙爾 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (10005861)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1988
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キーワード | 水素吸蔵合金 / アモルファス合金 / 原子構造 / 中性子散乱 |
研究概要 |
本研究は、多元素アモルファス合金中ナノスケールレベルの相分離をおこさせ、水素を吸蔵させる領域と水素吸蔵によって誘起される原子レベルの歪を吸収させる水素が吸収されない領域の2相に分離した新しいタイプの水素吸蔵合金の開発を目的として、その基礎的情報を得るために原子レベルからの研究を行ったものである。一般的にアモルファス合金は、第1隣接原子レベルで代学的規則が存在することが知られているが、全体的には化学的ゆらぎすなわち濃度ゆらぎは小さいときれていた。しかし、2元素アモルファス合金に第3元素を添加させりとこにより、その物理的、化学的性質ならびに安定性などが大きく変化することから、原子配列が大きく変化していることが予想される。本研究では、これまでほとんど行われていなかった三元素アモルファス合金の構造の研究を系統的に行った結果、多元系アモルファス合金では、その構成元素同士の化学的親和力の相違から、原子の化学的な配列状態は一様でなくなり、十数〓〜数十〓濃度ゆらぎが生じていることが明らかにされた。例えば、Ni-Zr-V系アモルファス合金ではZr原子のrichな相とV原子のrichな相に分離することが明らかになり、さらにZrーrich相ではV原子の添加量の増大に伴い、Ni-Zr相の化学的短範囲規則度も増大することが明らかになった。Al-Y-Dアモルファス合金の重水素のまわりの原子配列、すなわち水素原子がどのような位置に存在するかを中性子散乱で観察した。その結果、水素原子は低吸蔵水素量の時は水素と親和力の強いY原子のみからなる六配位多面体空隙を占有し、高吸蔵水素量になると、Y原子からなる四面体空隙のみを占有することが明らかになった。YNi_2-Dアモルファス合金についても同様の結果が得られている。これらの結果より、ナノスケール相分離型の水素吸蔵アモルファス合金の開発が可能であることが示唆される。
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