研究概要 |
本研究は, 合金の内部酸化現象を利用し, 現在まで殆ど明らかにされていないプラズマー固体金属との反応機構の解明を, ガスー固体金属反応と比較することによって試みることを目的としている. 本年度は, (1)比較データとして用いるガスによる合金の内部酸化挙動を研究する, (2)同種の合金について, プラズマによる内部酸化が起こるか否かを検討する, (3)上記(1)と(2)の結果を比較検討し, プラズマによる酸化の特徴を明らかにすることに焦点を絞った. なお, 合金試料としては, プラズマの効果が顕著に現われることが期待されるCu-Al合金を選んだ. 得られた結果を以下にまとめて示す. (1)Rhines法を用いたガスによる内部酸化挙動を詳細に調べた. 1例として, Cu-1wt%Al合金を900°C, 10時間酸化すると約200μmの内部酸化層が形成されることがわかった. (2)この銅金は, プラズマを用いても内部酸化が可能であることが, 以下の実験結果より明らかとなった. a)組織観察と硬さ測定より, 酸化層と未酸化層が明らかに識別でき, 且つ酸化層が放物線則に従って成長する. b)ESCA分析よりAlはAL_2O_3を形成している. (3)プラズマ酸化には, 酸化速度がガス酸化よりも著しく大きいこと, プラズマ酸化の硬さがガス酸化のそれよりも約2.5倍大きいことなどの特徴があることが明らかとなった. 以上の結果より, プラズマによる酸化はガス酸化に較べ, 合金中への固溶酸素量の増加を通して, 酸化速度及び強度の顕著な増加をもたらすことが明らかとなった. これらの成果は, プラズマ化学及び材料科学的見地から極めて重要なものであり, 今後多方面な分野への展開・応用が期待される. なお, 本研究の成果については, 現在投稿準備中である.
|