研究概要 |
Ni-Al-Ti系合金組成を広く変え, 種々の育成条件下での単結晶作製を試み, Ni-18Al-4Ti(at%)合金単結晶を作製した. 本合金単結晶を1423Kで溶体化後, 973〜1123Kで時効, 圧縮試験により室温で約4%変形した主すべり面に平行な薄板を電顕観察試料とした. 結果は昭和63年4月, 日本金属学会春期大会で以下のように報告する. 1."不規則γ析出相を含むγ′-Ni_3(Al, Ti)LI_2型規則相単結晶の変形組織"本合金単結晶の過飽和固溶体中の超格子転位は明らかに拡張しており, 多くの双極子を形成している. γ相が析出すると, γ相中の超格子転位の幅は拡大する. すなわち, 超格子転位は不規則γ相中で幅を拡大しエネルギー的に安定状態になることがわかる. この様子は完全時効段階でもっとも明瞭に現れる. 過時効段階についても, 転位の形態は基本的に同一で転位は常に析出物の中に入り込んでいる. すなわち, 本合金単結晶では時効のあらゆる段階で転位は析出相をせん断して運動する. 2."γ′-Ni_3(Al, Ti)LI_2型規則相の不規則γ相による析出機構", 本合金単結晶の析出機構を理論的に検討した. 析出相と母相中の逆位相境界エネルギーの差, 粒子中の転位の拡張等を考慮し, 時効過程を(a)〜(e)の5段階に分けてモデル化し臨界せん断応力(CRSS)を評価した. Wは母相中の超格子転位の幅, rsは析出相の平均半径, γ相中のAPBエネルギーはゼロとした. (a)2rs≪W:時効の初期段階に相当, (b)2γs<W:CRSSの増加はrs^<1/2>に比例, (c)2γs≦W:CRSSの増加はrs^<1/2>に比例, (d)2rs≧W:ピーク時効に相当, CRSSのrs依存性は小さい, (e)2rs≫W:過時効段階に相当, CRSSはrs^<1/2>に反比例する.
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