研究課題/領域番号 |
62550529
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
金子 純一 日本大学, 生産工学部, 教授 (00120410)
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研究分担者 |
菅又 信 日本大学, 生産工学部, 助教授 (90059600)
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キーワード | Al-Li系合金 / 粉末冶金材料 / 時効硬化 / 分散強化 / メカニカルアロイング / 粒子分散複合材料 / セラミックス粒子 |
研究概要 |
前年度に引続いてメカニカルアロイング法によりAl-Li系合金に微細なセラミックス粒子の分散を図った。今年度は、Al-2.5%Li合金に6vol%のセラミックス粒子を添加した場合と、Al-2.5%Li-1.2%Cu-0.7%Mg合金に2および6vol%のセラミックス粒子を添加した場合について実験を行った。メカニカルアロイン処理により得られた粉末を冷間プレス、真空過熱脱ガス、熱間押出の工程を経て、直径7mmのP/M材とした。活性元素であるLiの酸化防止のためP/M材とするまでの工程はすべてアルゴン雰囲気中で取扱った。得られたP/M材の材料評価を行い、セラミックス粒子分散の効果を検討した。 メカニカルアロイング法によって、Al-Li系合金中に6vol%までのセラミックス粒子を微細均一に分散した組織が得られた。セラミックス粒子の分散によりP/M材は高い硬度を示した。しかし、溶解鋳造法によって製造されたベース合金に比べて著しく低い時効硬化能を示した。このようなP/M材においては、転位、亜結晶粒界、異相界面などの不均一析出サイトが著しく増大するため、均一析出による時効硬化が抑えられるものと考えられるが、その詳細は今なお検討中である。なお、Li添加の無いAl-CuやAl-Cu-Mg系合金においても同様な時効硬化能の著しい低下が認められた。得られたP/M材は高い強度を示しており、Al_2O_3やTicを2vol%添加したAl-Li-Cu-Mg合金P/M材は押出しのままの状態で約600MPaの引張強さを示した。セラミック粒子の添加量が6vol%と増加するとますます延性が低下し、引張強さも若干低下した。したがってこれらのP/M材では、硬度値から換算して求めた引張強さよりも低い値となり、金属よりむしろセラミックスに近い機械的性質を示した。これらのP/M材の比弾性率は約30GPa、比強度は225MPa達しており、7075合金と比較してすぐれた特性値が得られた。
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