0.1〜2.0MPaのAr、Ar-CO_2混合ガス、CO_2高圧静止雰囲気中で、Fe-Si-Mn系消耗電極線を用いて軟鋼の開先継手溶接を行い、その機械的性質等を調べた。主な結果は次の通りである。 1.Ar雰囲気の場合、僅かに気孔が発生することがあるが、他の雰囲気では全く気孔は認められず、ほぼ良好な継手が得られる。 2.溶接金属の引張り強さ、降伏強さ等について (1)いずれの雰囲気においても雰囲気圧の影響とうけず一定である。 (2)同一雰囲気圧の場合、CO_2分圧が増すにつれて引張り強さ、降伏強さは減少する。 3.溶接金属の靭性について (1)Ar雰囲気の場合、雰囲気圧の増加とともに僅かに増す傾向が認められるが、Ar-Co_2混合ガス、CO_2雰囲気に比較して極めて劣る。 (2)CO_2雰囲気の場合、雰囲気圧が1.0MPa以上になると靭性は大きく低下する。 (3)Ar-CO_2混合ガス雰囲気の場合、雰囲気中のCO_2分圧により靭性が大きく低下する。 (4)上記の挙動は溶接金属の酸素含有量で整理することが出来、酸素含有量が約0.04%付近で最良の靭性となる。 4.溶接金属の硬さはいずれの雰囲気においても雰囲気圧の影響をうけず一定であり、同一雰囲気圧の場合、CO_2分圧が増すにつれて減少する。 5.溶接金属の組織はいずれもフェライト、オーステナイトからなり、靭性の高いものは微細フェライトの占める割合が大きい。
|