研究概要 |
均一な焼入れ層の得られる矩形ビーム光学系き検討を行うと共に, 物理光学(干渉縞解析)ならびに幾何光学(平均分布解析)により理論解析を行い, 実測強度分布と比較してレーザ焼入れ用熱源としての性質を調べた. 本光学系はカライドスコープの原理を利用するもので, 断面が矩形の銅角管と2枚のZnSeレンズから構成される. この光学系では第1レンズにより集光した不均一なCO_2レーザビームは角管中での多重反射により均一化され, 第2レンズよりワーク上に結像して任意寸法の均一矩形ビームを得る. 強度分布は通常の写真乾板を用いて測定した. その乳剤は赤外線に感光しないので, 乳剤が温度に依存した可視光感度をもつ性質を利用した. すなわち, CO_2レーザビームをパルス状に乾板へ照射した直後に均一可視光を露光させることにより, CO_2レーザビームの強度分布を乾板上での黒化度の分布としてプリントすることができた. これにより, 0.01〜1J/cm^2の範囲ではレーザ強度と黒化度増加とは直線関係にあることがわかり, 微細な強度分布の限定が可能となった. ガウスビームが入射したとき, 角管の一辺の長さにたいする長さの比がビームのFナンバの2.5〜3倍のとき, 均一分布ビームが得られる. また干渉縞のピッチは十分に細かく, 表面焼入れに利用する上では均一ビームとみなしてさしつかえないことが明らかになった. また, 本光学系の光軸がレーザビーム軸にたいするミスアラインメントは, 位置精度0.6mm, 角度精度が約1.5°以内であれば硬化層の不均一に影響しないことがわかった. 本光学系の効率は約85%と高く, じゅうらい型のものに較べて高いことが明らかになった. また, 本光学系をレーザ焼入れに応用したところ, 均一で十分な深さの硬化層が得られた.
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