研究概要 |
本年度は最終年度にあたるので、前年度までの研究の確認及び仕上げに重点をおいて研究を行った。すなわち、第一に、固相接合における接合部形成過程をになう重要な機構である境界拡散(界面・表面の両拡散)による接合部形成のコンピュ-タシュレ-ションを行った。この数値計算は接合形成の予測システムを構築するために必要であるばかりか、接合部形成挙動の温度・圧力等の依存性を理解する上で非常に役に立つものである。結果として、1)接合部に存在する空隙(ボイド)の収縮挙動は、界面拡散と表面拡散との拡散係数比に大きく左右される。2)原子の消滅点は空隙表面上に存在し、接合の初期には、ボイドと接合界面の結合点(チップ点)近傍にあるが、接合が進むにつれてボイド表面の中央部へ移動する。3)ボイド収縮挙動の応力依存性を示す応力指数は、低圧力域で、その絶体値は1より小さくなるが、圧力が高くなるとほぼ1に等しくなる。4)ボイド収縮挙動の温度依存性は(2δsDs×δbDb)/{2δsDs+δbDb}によって、よく表現できることがわかった。ただし、δs δbは、それぞれ、表面及び界面の拡散経路厚で、Ds,Dbはそれぞれ表面及び界面の自己拡散係数である。 第二に、接合過程の予測と接合条件の最適化をめざして、接合条件の設定アルゴリズムの試作を行った。これは、固相接合の数値モデルを基にして構築された。特長としては、接合凹凸によるボイド間隔が接合中変化するような場合でも、接合完了時間を予測しうる点にある。これらのことを報告書にまとめて、研究成果を仕上げる。
|