研究概要 |
糖質検出法として新しい電気化学検出法(ECD-CBP法)の高感度化をすすめた. ポストカラム反応における溶存酸素の影響を検討した. ポストカラム反応コイルにはステンレスは不適でテフロンチューブを用いなければならない. ドライ反応槽では空気中の酸素がテフロンチューブを透過して溶存するため検出感度が低下する. 一方高温水浴反応槽では, 高温での水への酸素の溶解度が小さいためテフロンチューブを通って溶離液, 反応液へ溶存してゆくことはない. これらのことがテフロンチューブを密封した真空排気できるチャンバーとECD法により明らかとなった. アミノ糖の新しい分離についてポリマーベース逆相用充填剤を用い, イオン対分離法を試みた. 各種のイオン対試薬, バッファーの種類, 濃度, pHなどについて検討した. グルコサミン, ガラクトサミン, マンノサミンはいづれも十分な保持がえられるが相互の分離は極めて困難であり, いまだ良好な分離条件はえられていない. しかしながら検出法としてはCBP法が極めて高感度な応答を与える(サブピコモル)ことが明らかとなった. 酸性糖(グルクロン酸, ガラクツロン酸)に対してもCBP法は極めて高感度であった. 中性糖についてはホウ酸アニオンコンプレックスを形成させ, 逆相イオン分離法を試みた. イオン対試薬にはテトラブチル及びテトラオクチルアンモニウムを検討したがいづれも十分な結果はいまのところえられていない. 肝機能評価のためのガラクトース負荷試験における血中ガラクトース分析にCBP法を応用し, 従来の酸素-けい光法より高感度で他成分の妨害のない分析法であることが明らかとなった. その他関連した成果としてNBD-トリプトファンのECD-けい光検出法の開発, ポリアミンの高感度ECD検出法の開発に成功しており, けい光法, ECD法, イオン対分離法の研究の観点から糖質分離分析法との相互波及効果があった.
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