既に我々によって開発された糖質の新しい電気化学検出法(CBP法)における溶存酸素の影響について詳細に検討した。その結果ドライ反応槽を用い、フューズシリカキャピラリチューブを反応コイルとして、操作性の良い、高感度、高性能なシステムを開発することができた。アニオン交換樹脂(HPIC-AS6、Dionex)/水溶離液系とこのCBP検出法を組合わせることにより複合糖質に通常見い出される中性糖であるフコース、カクラトース、グルコース、マンノースが60分以内で分析できることが示された。検出下限は数十〜数百フェムトモルレベルと見なされ極めて高感度な分析法となった。糖質の新しい分離法の試みを前年から引き続いて検討を進めた。酸性糖では逆相イオン対分離法の可能性が示唆され、今後検討を加える。ヒドロキシアパタイトカラムによる分離の試みはアミノ糖、酸性糖で保持に相異が見い出され、更に詳細に検討を進める予定である。複合糖質の酸加水分解試料から高濃度の酸を除去する微量試料前処理システムについて検討した。最近開発されたテフロン製のアニオン交換膜を用い電気透析することにより、2ml中の試料中の1N塩酸は20分以内で除去されることが示され有効なシステムと思われる。イノシトールの新しい検出法を見い出した。触媒カラムをポストカラムリアクタとしてCBP法と組み合わせることにより高感度電気化学検出が可能になった。イノシトール3リン酸の新しい検出法として期待されるものである。Nアセチルシアル酸はこの方法では検出できなかった。アントラキノンが高温、アルカリ性下で還元糖によって容易に還元されることが用手法で見い出された(CBP法の場合より短時間で)。このためCBPに代るメディエータとして電気化学的方法及び蛍光法で還元糖の検出が可能と予想される。現在のところ蛍光検出に成功していないが興味ある方法と思われる。
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