糖質検出法として既に我々によっ開発された新しい電気化学検出法(CBP法)の高感度化をすすめた。即ちポストカラム反応における溶存酸素の影響について詳細に検討した。ポストカラム反応コイルとしてフューズドシリカキャピラリチューブを使用し、ドライ反応槽及びオンラインデガッサシステムを用いることにより操作が格段に容易になり、高感度化が達成された。CBP法をガラクトース負荷試験を受けた肝疾患患者血清中のガラクトース分析に応用し、従来の蛍光法より高感度で選択性の高い方法であることが明らかにされた。糖質の分離法について種々の方法検討した。逆相イオン対分離法について酸性糖に対してのみ可能性ある結果がえられ、今後検討を進める。ヒドロキシアパタイトカラムによる分離法では、アミノ糖、酸性糖について相互に差のある保持がえられた。中性糖に対しては逆相イオン対分離の試みは成功しなかった。アニオン交換カラム(HPIC-AS_6、Dionex)/水溶液で複合糖質に通常存在するフコース、ガラクトース、グルコース、マンノースが60分以内で高い分離効率で分離されることが示された。CBP法と組み合わせることにより、各糖で数十〜数百フェムトモルレベルの検出が可能で、極めて高感度な分析法となりうることがわかった。複合糖質の酸加水分解試料から高濃度の酸を除去するテフロン製のアニオン交換膜を用いる電気透析による微量試料の前処理法について検討し、有効な方法を見い出した。生体情報伝達系のセカンドメッセンジャーとして注目されているイノシトール-3リン酸の新しい分析法開発の第1段階として糖アルコールであるイノシトールの新しい検出法を検討した。触媒カラムをポストカラムリアクタとしてCBP法と組み合わせることによりイノシトールの高感度電気化学検出が可能なことが見い出され有望な検出法として期待される。
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