62年度の研究実績に基づいて、Li_2O-TiO_2-Nb_2O_5系と同様にLi_2O-TiO_2-Ta_2O_5系における新しいタンタル酸チタン酸リチウム固溶体の合成を行い、その誘電率の温度変化を測定した。Li_2TiO_3-Ta_2O_5とLiTaO┣D23-Li┣D21.33┫D2Ti┣D21.66┫D2O┣D24┫D2相線上における特定な組成比を持つLi┣D22┫D2CO┣D23┫D2/TiO┣D22┫D2/Ta┣D22┫D2O┣D25┫D2混合試料を1080°Cで2〜120時間反応させ粉末X線回折によって得られた生成物の同定を行った。その結果、Li:Ti:Ta=10:5:6の組成比を一端としたLiTaO┣D23┫D2-Li┣D21.33┫D2Ti┣D21.66┫D2O┣D24┫D2相線上にある組成比で新しい化合物が生成することが分かった。この化合物は、LiTaO┣D23┫D2とLi┣D21.33┫D2Ti┣D21.66┫D2O┣D24┫D2との反応によっても生成するので両酸化物の固溶体であると結論した。Nb┣D22┫D2O┣D25┫D2を含む系と比較するとこの新しい固溶体の生成領域は狭い範囲にある。次に、Li┣D22┫D2M┣D20┫D2O┣D24┫D2-Licl系フラックスを使用して組成比Li:Ti:Ta=10:5:6を持つ固溶体の単結晶を除冷法によって1200°Cから育成した。得られた結晶はNb┣D22┫D2O┣D25┫D2系の場合と同様に六角板状の晶癖を有しており、そのプリセッション写真から六方晶に属することが分かったが、その格子定数の決定までには至らなかった。さらに、1080°C組成比Li:Ti:Ta=10:5:6を持つ固溶体の焼結体(相対密度=90%)を作製し、室温〜800°Cの範囲でユニバーサルブリッジを用いて1KH┣D22┫D2でその誘電率を測定した。誘電率(ε)の値は350°C付近から温度の上昇に伴い急激に増加し、約530°Cでキューリ温度を持ちその温度におけるεの値は10┣D14┫D1に達した。以上のことから、新固溶体は強誘電体であり非常に高い誘電率を持つことが分かった。
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