研究概要 |
メタリン酸アルミニウムを母材とし, 修飾イオンとして, IA,IIAおよび鉛, 亜鉛のメタリン酸塩を加え, 溶液法により3Mnd_2O_3という高濃度をドーブしてリン酸塩ガラスを製造し, 下記のような結果を得た. 1) ドーピング剤として加えたnd_2O_3は, ガラス製造中に一部結晶化を起し, アルカリ融解法では不溶な物質に変化する. 粉末X線回析法とエネルギー分散型X線分析法の結果から, その物質は単一立方型格子のndalo_3(a_o=3.744〓)であることが判明した. 2) 吸収スペクトルの測定からjudd-ofelt法を用いて得た強度パラメータ(Ω_t)は, 通常, 傾向特性の評価に用いられ, この値が大きいほど幅射遷移確立が大きく, よいとされている. IA族金属を修飾イオンとして用いた場合, Ω_tの値は, Li^+<Na^+<K^+<Rb^+<Cs^+の順にイオン半径の大きさに比例して大きくなる. IIA族金属, 亜鉛および鉛を修飾イオンとした場合はBa^<2+><Ph^<2+><Mg^<2+><Sr^<2+><Ca^<2+><Zn^<2+>の順に大きくなり, イオン半径の依存性は現れない. 3) 窒素レーザー喚起パルス色素レーザでネオジムリン酸塩ガラスを喚起し発生する蛍光をオートデジタイザー(S121S)とシグナルアベレージャー(F601)を用いて検出し, 蛍光寿命の測定を行った. ガラスの組成が等しい場合, 蛍光寿命はガラス中の水の含量に反比例して大きくなる. ガラス中の水の含量が等しい場合, 蛍光寿命は, II価金属イオンを含む場合の方がI価金属イオンを含む場合よりも大きい. 今後の方針として, 1)蛍光スペクトルの計測を可能にして, 誘導放出断面積δを求め, ドープ剤として, ndalo_3粉末を加え, ガラス内のネオジムの配位状態を均一にした場合の蛍光特性について検討する. また, 他の母材(ケイ酸塩)を用いた場合について検討する.
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