研究概要 |
六塩化ニケイ素をケイ素液として用いると, CVD法によるSiCやSiN_4の膜の析出温度や, 気相拡散処理法による金属や合金のラリコナイジング温度の著しい低温化が可能であることが多くの実験結果から明らかになった. 本年度に得られた結果の概要は下記の通りである. 1)CVD法によるSiC, Si_3N_4膜の低温合成;六塩化ニケイ素を用いると四塩化ケイ素等を用いた場合より150〜300°C低温で膜析出が可能である. また四塩化ケイ素の場合より, Si_3N_4においては, 100〜200°C低い温度でα相の析出が認められ, またSiCにおいては室温〜1200°Cにおいて300kg/mm^〓前石高い微小便度値が得られた. 2)ガス拡散処理法(シリコナイジング)によるケイ化物膜の低温析出:六塩化ニケイ素をケイ素拡散液として用いると四塩化ケイ素の場合より, ニッケルでは250〜350°C, モリブデンでは200°C, チタンでは50°C, モネルでは150°C, インコネル(#600)では200°C低温でケイ化処理することができることが認められた. 金属表面をケイ化処理することにより酸に対する耐食性は著しく向上する. 鉄, コバルト, ニッケル等の金属を気相ケイ化処理すると, ケイ素の膜の内側方向への拡散速度より, 金属原子の外側方向への拡散速度の方が著しく大きいため膜界面に空洞を生じ, また膜表面に著しい結晶成長が認められた. したがってこの場合, 金属原子の拡散を抑制する拡散バリヤーを入れる必要があることがわかった. モリブデンの場合には極めて密着性の良いMoSi_2保護膜が析出した. これらの結果は3編の論文と2編の総説等にまとめられている.
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