研究概要 |
本年度は、主としてガス拡散処理法(シリコナイジング法)による各種金属、合金の低温表面処理の詳細な検討と、拡散法よび新たに開発したin-sitnCVD法によるSi系化合物結晶について検討を行った。後者は本研究課題の発展として行ったものであるが、大きな成果が得られたのであわせて報告する。 (1)ガス拡散処理法によるケイ化物膜の低温合成: 昨年度の結果にもとづき、ステンレス鋼のガス拡散処理による表面シリコナイジングとその特性について検討を行った。この場合、基板の縁の部分では著しい結晶成長が認められた。この結晶は新規化合物(Fe,Cr)_xSiyであることがわかり、(2)項の研究へと発展させた。 (2)拡散法によるSi系化合物結晶の成長: 前項の結果を発展させ、新規化合物(Fe,Cr)_xFey結晶の成長条件、モルホロジー、結晶構造等の検討を行った。この結晶は六方晶系のFe_5Si_3を母相とし、Feの一部がCrで置換されたものであることが明らかとなった。 (3)in-situCVD法によるCrSix,(Fe,Cr)_xFey結晶の成長: Cr粉末+Si_2Cl_6+H_2系からCr_5Si_3、Cr_3Si等の結晶成長が可能であることを見出した同様にステンレス粉末(SUS410)+Si_2Cl_6+H_2系から1100〜1200℃で(Fe,Cr)_xSiy結晶が可能であることを見出した。この結晶は、結晶という概念を換えるような新しいタイプの魅力的な形をしている。 (4)新規のスプリング状Si_3N_4ファイバーの合成: Si_2Cl_6+NH_3+Ar系から今までに全く報告されたことのないスプリング状に規則正しく巻いたSi_3N_4ファイバーの合成に成功した。このファイバーの合成は、アメリカの物理学会でも認められ、また、4つの新聞にも大きく報道され、大変注目されている。
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