研究概要 |
AgNO_3, Pd(NO_3)_2および両者の混合水溶液を霧化し, 酸水素炎中へ供給する方法で金属粒子を製造し, 粒子形状に対する製造条件の影響を調べた. 本法での金属粒子の生成過程は図1のようにまとめられることがわかった. 金属粒子は溶媒の蒸発と塩の熱分解により生成するが, その生成経路は火炎温度によって3通りに分けられる. 経路1…火炎温度が金属の融点より低い場合, 金属粒子は熱分解直後の形状を保ったまま火炎を離脱し, 不定形または中空状のものが多くできる. 経路2…火炎温度が金属の融点以上の場合, 金属粒子は溶融状態を経由し, 中実の球状粒子となる. 経路1, 2の場合, 粒径は原料溶液の濃度のみに依存し, 数100〜数1000nmであった. 経路3…火炎温度が十分に高い場合, 金属粒子は一度蒸発し, 蒸気から再び粒子が生成し, ほぼ球形の超微粒子が生成する. 粒径は金属塩蒸気濃度に依存し, 数10〜数100nmであった. 火炎温度や金属塩の供給速度などの諸条件の制御により, 1つの経路を支配的にすることが可能であった. また, 合金粒子の製造においては, 経路2が支配的となる製造条件下で原料溶液組成と一致する均一組成の粉体が得られた. RF-プラズマ法により, Cu(NO_3)_2水溶液から, 同様の生成過程にてCu微粒子が生成することがわかった.
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