化学炎(H_2-O_2炎)中に、AgNO_3水溶液を霧化、噴霧する方法で、Ag粒子を製造した。得られたAg粉体を有機Vehcle(エチルセルロース、10wt%;テルピネオール、90wt%)と混練してペースト化し、アルミナ基板上に印刷して焼成(600〜850℃、10min)し、導電膜としての性質を調べ、従来法(湿式還元法)で得られたAg紛体および銀ペーストとの比較検討を行った。 昨年までの研究結果にもとづき、反応条件の制御によって粒子の形状、粒度、凝集状態が異なるAg粒子を製造した。SEM観察によって求めた粒径(SEM径)と、光透過式遠心沈降法により求めた粒径(ストークス径)を調べ、ストークス径には粒子の凝集の影響が反映されるので、両者の差が大きいものを凝集の程度が大きいと考えた。市販のAg粒子は粒子径は0.3μm以下と小さいものの凝集が激しかった。 膜組織については、SEM径が小さく、分散性の良い粉体の方が。より大きなAgによる被覆面積を持つことがわかった。焼成温度は700℃のときが最もち密でAgによる被覆面積も大きかった。電気抵抗については膜組織がち密なものが小さな比抵抗値を示した。凝集の強いものは機械的に混練することによって比抵抗値を小さくすることができた。 結論 化学炎法によって製造したAg粉体を用いた導電膜の特性はAg粉体の粒度と分散性により大きく影響された。ペースト用Ag粉体としては、SEM径が小さくかつ凝集が少ない粉体が望ましく、本実験でも非常に薄くかつ電気抵抗の小さな膜(膜厚2.0〜2.5μm、シート抵抗11.6〜18.1mΩ/square比抵抗2.3〜4.7μΩ・cm)ができた。これは市販のものと比べても優れたものであり、凝集が少ない粉体では小さいせん断力で分散もできるなど工業的にも有用である。
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