研究概要 |
本研究の目的は, 光電極反応を利用した位置選択性光電解重合反応を使って, 機能化された導電性高分子のマイクロパターンを作製するための基礎を作ることである. 62年度の計画は次の3点からなる. (1)位置選択性光電解重合反応による導電性高分子析出機構の解明と膜のキャラクタリゼーション. (2)導電性高分子膜への色素取り込みによる機能付加. (3)光電解重合反応をつかったホログラフィック・グレーティング作製. 以下に各項について得られた知見と研究実績を列挙する. また, 新たに検討を行った項目についての知見も併せて記す. (1)酸化チタンー酸化亜鉛の透明薄膜半導体電極をスプレイパイロリシスによって作製し, 位置選択的に生成したポリピロールのパターンの特性を調べた. 特に, 電解重合反応によるポリマーとの比較を行った. また, 酸化亜鉛の薄膜を無機フォトレジストとして用いる方法を提案し, 種々の形式のパターン作製が可能であることを示した. これらの結果はJournal of Electrochemical Societyに掲載された. (2)光電解重合の際に種々の色素分子が取り込まれることが確認された. 特に, 色素分子の持つ荷電に拘らず, 膜中に高濃度で濃縮されることが判った. この結果はChemistry Lettersに掲載された. (3)酸化亜鉛をフォトレジストとして用い, ホログラフィックグレーティングが作製できた. これはJournal of Applied Physicsに掲載された. (4)ガラスや半導体などの透明基板上のポリピロール薄膜や色素分子のキャラクタリゼーションを行うために, 光導波路法を採用発展させた. 特に, 光導波路上で電気化学過程や光化学過程を追うことに初めて成功した. これらの結果は, 既にいくつかの学会報告で公にし, Thin Solid Filmsなどに投稿中である.
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