位置選択性光電解重合反応による機能化導電性高分子マイクロパターン作製をテーマに、主として固体と溶液との界面への光照射に伴って起る現象のキャラクタリゼーションと機能デバイスへの応用を目指した。 1)位置選択性光電解重合反応系の開発 半導体を電極として溶液に浸漬し光照射を行うと、半導体表面で生じた光キャリアと溶液中物質が、光照射された部分で反応を起こす。反応として重合反応を選べば、位置選択的に重合反応を起こせるはずである。本研究では、これを位置選択性光電解重合と名付け、ピロールをモノマーとして種々の半導体上に導電性高分子の細かいパターンを形勢させることに成功した。 2)取り込み反応を利用した導電性高分子膜の高機能化 光電解重合を発展させ、ポリピロール膜中に機能性分子を取り込む手法を開発した。膜形成と同時に、カチオン性色素とアニオン性色素のどちらをも取り込むことができる。この手法による機能化の例として、エレクトロクロミズム素子への応用を示した。 3)光導波路分光法の開発と半導体溶液界面反応への応用光電解反応をより深く理解するための手法として、光導波路法を開発した。これにより、半導体表面反応により生じる小さな光学的変化を、数十倍から数百倍以上に増やして観測することができる。この手法の基本特性の評価と、比較的簡単な系への応用を試みた。 4)レーザー誘起光起電力法による種々の界面のキャラクタリゼーション 半導体と溶液との界面を含む種々の界面のキャラクタリゼーションのために、レーザー誘起光起電力法を検討した。モデルとして半導体同士の接合への適用を行い、界面におけるバレドの曲りや、リーク電流の評価法をして秀れた手法であることを示した。
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