本研究では、エチレンの直接水和に高活性を示したゼオライト触媒を発展拡張し、プロピレンやブテンの水和に高活性な触媒の開発、触媒物性と活性の関連の究明を実施した結果、以下の点が明らかとなった。 1.プロトン型ゼオライトで1ーブテンの接触反応を行なったところ、403ー413Kで最大収率が達成された。エチレンの水和反応ではフェリエライト、モルデナイトが高活性であったのに対し、1ーブテンではZSM-5が高活性であった。 2.シリカ/アルミナ比が16〜23の範囲のゼオライトが1の水和反応に高活性を示し、ゼオライトの酸量が多いほど活性が向上した。 3.イソブテンの気相接触水和反応では、tert-ブタノールが高収率、高選択率で得られる。 4.プロピレンの水和を超安定Y型ゼオライト上で実施すると、アセトンを選択的に生成した。これは水和脱水素反応を経由するオレフィンの酸化であり、新しい型の固体触媒反応とみなせる。またCaO、MgOをゼオライト中に担持すると、定常活性が向上した。 5.水中懸濁系での接触水和ではイソブテン→tertーブタノールの反応が高収率で進行する。またその水和活性はAl含有量に山型に依存した。 6.ゼオライト触媒による水和反応においては、イソブテンの反応性が1ーブテンに比べて極めて大きかった。 7.ゼオライトの細孔径をシラン表面固定化法で処理することにより、分子径の異なるガスの吸着特性を制御できる。 以下の結果は混合ブテンを原料とした場合にイソブテンの接触水和のみが高転化率、高選択率で進行する可能性を示唆しており、混合ブテンの分離法あるいは混合ブテンの精製を必要としないイソブテン水和法として、工業的に有用な触媒反応系となると期待される。
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