室内環境汚染の一種ともいえるシガレットスモークや石油等の燃焼および火災時の可燃物の燃焼スモークから、高反応性で、見かけ上長寿命の気相ラジカルが生成することを見い出し、その生成挙動を生成機構に関する検討を行い、以下の知見を得た。 1.シガレットスモークから、スピントラップ法を用いたESR解析により高反応性で、見かけ上長寿命の酸素中からラジカルを検出し、その生成挙動に関する知見を得た。 2.上記の気相ラジカル生成挙動を説明し得る生成機構について、計算機シミュレーションにより検討した結果、主要な気相ラジカル生成過程として、オレフィン-NOx-空気系反応を提案した。 3.石油およびポリマー等の可燃物の燃焼スモークからも、同様な方法により高反応性で、シガレットスモークの場合より寿命の長い酸素中心および炭素中心ラジカルを検出し、その生成挙動に関する知見を得た。 4.上記燃焼スモークからの気相ラジカルは、シガレットスモークの場合とは異なり、NOxが存在しない系で生成すること、寿命が一層長いこと、低温トラップによる昇温下でのESR解析の結果がトリオキシド存在の可能性を示すことから、トリオキシド等の含酸素準安定生成物の生成と分解により主として生成しているものと推察される。
|