研究課題/領域番号 |
62550608
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
水田 政輝 岐阜大学, 工学部, 教授 (70021566)
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研究分担者 |
藤井 幸夫 岐阜大学, 工学部, 助手 (50092961)
山田 碵道 岐阜大学, 工学部, 助教授 (50021613)
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キーワード | 芳香族カルボン酸 / 溶媒抽出 / カルボン酸銅(II)錯体 / メトキシ安息香酸 / 2-チオフェンカルボン酸 |
研究概要 |
液-液抽出系の研究において、リポ酸ではジチオラン環とカルボキシル基をつなぐ4個のメチレン基によりジチオラン環の効果が、ほとんど遮蔽されてしまうためとおもれわるが、銅(II)の抽出に関して、脂肪族ガルボン酸に準じた抽出平衡が得られた。そこで、やはり硫黄原子を含む5員環であるチエニル基に、リポ酸とは異なりメチレン基を挟まず、直接カルボキシル基が結合した。2-チオフェンカルボン酸を選んで銅(II)の抽出を行った。リポ酸同様、5員環の硫黄原子は銅(II)との結合に直接関与しないが、抽出平衡に関してはリポ酸や脂肪族カルボン酸のように2量体の生成は感知するほどには認められず、芳香族カルボン酸である安息香酸と非常によく似ていることを明らかにすることが出来た。2-チオフェンカルボン酸は、非ベンゼン系芳香族カルボン酸であることを考慮すれば、カルボン酸銅(II)錯体の生成に対して共役系が何らかの影響を与えていると考えられる。そこで、この影響について検討するために安息香酸の1つの水素原子をメトキシ基で置換した、メトキシ安息香酸と銅(II)との反応を液-液抽出系で研究することにした。安息香酸は「オオウキクサ」の開花ホルモンとしても知られており、リポ酸同様に生体内での反応に興味が持たれていることもあるので、この観点からも置換安息香酸に関する研究を行うことにした。 その結果、パラメトキシ安息香酸では銅(II)をほとんど抽出することが出来ず、オルトおよびメタ置換体でも銅(II)は単量体としてのみ抽出され、すでに明らかにしているメチル安息香り酸の場合 (パラ置換体では、銅(II)の抽出種は単量体のみであったが、オルトおよびメタ置換体では一部2量体の生成も認められ、抽出性も向上した)とは、顕著な違いを示し、置換基自身や、置換基による共役系の変化がカルボン酸銅(II)錯体の生成に何らかの影響を与えることが分かった。
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