| 研究概要 |
(1)芳香族ニトリルによる2,2ージアリールオキセタンの光増感環開裂反応。
2,2ージアリールオキセタンの開裂反応は電子受容体存在下での光照射によって効率よく起こる事を見い出した。反応効率はアリール基上の置換基が電子供与性になるにしたがい向上し、メチル基やメトキシ基が置換した時、反応が連鎖機構で進行する事を明らかにした。マススペクトロメトリによるオキセタン化合物のフラグメンテーションの解析によって、連鎖機構にはジアリールケトンカチオンラジカルが重要な働きをしている事を明らかにした。
(2)電子供与体存在下での2,2ージアリールオキセタンの光環開裂反応。
2,2ージアリールオキセタンは直接光照射では環開裂反応を起こさないが、電子供与体依在下での光照射では開裂反応が進行し、1,1ージアリールエチレンを生成した。この開裂の位置選択性は電子受容体存在下での光環開裂反応とは異なることも明らかになった。
(3)1,2ージアリールシクロブタン類の環開裂反応。
1,2ージアリールシクロブタンの光反応における反応性はシクロブタン環上の置換基に大きく依存している事を明らかにした。X線結晶構造解析などの研究によって、シクロブタン環上の2つのアリール基がシクロブタン環のCーCシグマ結合を介してお互いにThrough-Bond相互作用をする時、その反応性が大きくなる事を明らかにした。この様な構造と反応性の関係は熱反応についても見られた。また分子軌道法による考察も行った。
(4)チエタン類の光化学的環開裂反応。
2,2ージアリールー3ーシアノチエタンの直接および電子受容体存在下での光反応を検討した。いずれの場合も2,2ージフェニルアクリロニトリルが生成する事が明らかになった。
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