研究概要 |
グルコースオキシダーゼの基質特異性について検討を行った結果、基質選択性は天然糖の範囲に限られてはいたが、やはりその範囲はそれ程狭くなく、事実グルコースのかわりにガラクトースを作用させた場合収率64%でDーガラクトノー1,4ーラクトンが得られた。 微生物によって糖質が二酸化炭素と水にまで分解されるとすれば、この反応は全体として酸化(多段階的脱水素)とみなせるであろう。特定の微生物の分解資化に対する基質選択性のスペクトラムを利用すれば従来の化学的手法では考えられなかったような糖質の高選択的分離が可能となるものと思われる。ここでは活性汚泥より集積培養法により得たDーアロース資化菌の一菌株であるRhodotorula rubra KM-603について各種糖質に対する資化性の検討を行った。本菌株はDーアルドヘキソースではDーアロースを資化した以外は基質となったのは天然多産糖に限られていた。本菌株の基質選択性のスペクトラムを利用して、Dーアロース及びDーアルトロースのCー2エピマー混合物に作用させた所、Dーアロースのみが資化され、ほぼ定量的にDーアルトロースを純枠に得ることが出来た。又、これとは逆にDーアルトロース資化菌として得られたPseudomonas sp.KM-705により、Cー2エピマー混合物からDーアロースのみを単離することが可能であった。次にRhodotorula rubra KMー603を用いてメチルグルコシドのα,βーアノマーの分離を試みた所、βー体のみが代謝され、αー体のみが純枠に得られた。これに対して、メチルαーDーグルコシド資化菌として得られたTrichosporon cutaneum KHー704によりα,βーアノマーの分離を試みた所、今度はα体のみが資化され、アノマー混合物よりメチルβーDーグルコシドを単離することが出来た。なお本手法はメチル基以外にプロピル、ブチル、オクチル基などでも適用が可能であった。
|