研究概要 |
1.ステロイドの遠隔アセトアミド化を用いるアミノ化反応 本研究では, 電極反応によって発生せしめた活性種による不活性C-H結合の官能化を目的として基礎的検討を行い, 本年度は以下の結果を得た. まず, 5α-コレスタンー3α-オールのC-3位側鎖として4-, 5-, あるいは6-オキソアルカン酸をエステル結合させ, そのステロイドをアセトニトリル中0.1M LiClO_4を支持塩として+2.3V〜+2.75V vs Ag/AgNO_3で陽極酸化を行ったところ, 化学的に不活性な6α位にアセトアミド基が導入されたステロイドがそれぞれ22%, 26%, 14%の収率で得られることを見出した. 他の活性種を有する側鎖についても検討を行い, m-ヨードフェニル基を有するステロイドエステルからは7%の収率で6α-アセトアミド体が得られたが, シクロヘキサノン基を有するステロイドからはアセトアミド体が全く生成されないことが判明した. C-3位鎖のメチレン鎖を長くした場合, 6α位だけではなくC環, D環がアセトアミド化されたと思われる生成物が得られたが, いくつかのモノアセトアミド体およびジアセトアミド体の混合物であった. 反応過程については, 側鎖にあるカルボニル基あるいはヨードフェニル基の陽極酸化によって発生するカチオンラジカルが分子内あるいは分子間で水素を引抜きC-6位のラジカルを生成し, アセトアミド化が進行したと推定している. しかしながら, ステロイド骨格の直接酸化からC-6位ラジカルが発生する可能性も否定することができず, 目下検討中である. 2.電極反応をキーステップとする官能化 3α-位にm-ヨードフェニル基を有するステロイドをLiCL存在下陽極酸化すると9α-クロロステロイドが得られ, これから数段階で12-アセトアミドステロイドを容易に合成することができた.
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