研究概要 |
1.市販のエチルビニルエーテルと無水トリフルオロ酢酸との反応により, エチルβ-トリフルオロアセチルビニルエーテルを合成し, これとヒドラジン, メチルヒドラジン, フェニルヒドラジン, トシルヒドラジン, セミカルバジド, チオセミカルバジドなどの2官能性窒素求核試薬との反応により, オレフィン炭素上での求核置換反応に引き続いておこる環化反応を利用し, 窒素原子上に各種の置換基を持つ多種類の5-トリフルオロメチルピラゾリンならびにピラゾール類を合成することができた. 2.上の反応において2官能性試薬としてヒドロキシルアミンを用いることにより5-トリフルオロメチルイソオキサゾールを合成することができた. また, グアニジンを用いることにより各種の2-アミノー4-トリフルオロメチルピリミジン誘導体を合成することができた. 3.β-トリフルオロアセチルビニルエーテルとアニリンとの反応により, N-フェニルーβ-トリフルオロアセチルエナミンを合成した. つぎにこれを五硫化リンで処理して脱水環化させることにより, 4-トリフルオロアセチルキノリンを合成することができた. 4.オレフィン炭素上でのN-N交換反応の応用として, 芳香族炭素上での求核的N-N交換反応を試みた. すなわちN, N-ジメチルー2, 4-ビストリフルアロアセチルー1-ナフチルアミンを合成し, これに室温でアンモニア, 第1級アミン類, 第2級アミン類を反応させると, 極めて容易に, かつ定量的にN-N交換反応のおこることがわかった. 各種アミノ酸類についてもこの反応は容易におこる. つぎに求核試薬としてヒドラミジン類, ヒドロキシルアミンなどを用いると, N-N交換の後に環化反応がおこり, これにより簡便に各種の含フッ素ナフトピラゾール類, ナフトイソオキサゾール類を合成することができた.
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