研究課題/領域番号 |
62550635
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
大坪 徹夫 広島大学, 工学部, 助教授 (80029884)
|
研究分担者 |
安蘇 芳雄 広島大学, 工学部, 助手 (60151065)
小倉 文夫 広島大学, 工学部, 教授 (90028150)
|
キーワード | 有機電導物質 / 分子錯体 / 電荷移動錯体 / 電子供与体 / 電子受容体 |
研究概要 |
本研究では、研究課題の新規の有機電導物質の開発を目指して、電導性の電荷移動錯体の研究に取り組んでいる。そのために、前年度に引続き、新しいタイプの電子供与体及び受容体の分子設計を行っている。本年度では、電子受容体の分野で種々の高電導錯体を与える化合物が見つかった。即ち、共役刑チオヘンTCNQはオンサイトクーロン反発の小さいという特徴をもっている新しいタイプの電子受容体であるということを前年度見いだしたが、その電子受容能はTCNQと比べると弱いという欠点を有していた。そこで、ハロゲン等の電子吸引基を導入することにより、その電子受容能を高めてみると、極めて良好な電子受容体として働くことが分かった。それ故、種々の電子供与体と形成した錯体は異常に大きな金属性をしめすものが数多くみられた。その中には、室温条件下での加圧成形試料での測定としては、これまで知られている有機電導化合物の中の最も高電導性を示すものも見いだすことが出来た。このような共役系チオヘンTCNQの成功から引き続いて、他のヘテロTCNQの研究を行い、ピリジン、フラン、セレノフェン型TCNQの合成に成功し、各々特徴ある電子受容体として機能することが分かった。すなわち、ヘテロ原子の機能を利用して機能物質の開発に役立つ可能性を有する。一方、電子供与体の分野でも前年度研究を行ったペリ位カルコゲン架橋芳香族化合物、4-カルコゲノピラン-1、3-ジチオル化合物に引き続き、新しいタイプの化合物の研究を行い、縮合チオヘン系芳香族化合物に属する電子供与体ビチエノチオヘンの開発に最近成功した。それはペリレンと等電子構造を有し、良好な電子供与体として働くことが期待される。今後、本研究で得られた新規化合物及びそれらの分子錯体の構造と物性の解明を行い、更に優れた電導物質の設計と機能物質の開発を行う予定である。
|