研究概要 |
1.多孔性ポリマー粒子の調整と物性の測定:ジビニルベンゼン(DVB)とグリシジルメタクリレート(GMA)の組成化を100/0〜10/90に変え, 過酸化ベンゾイルを用いて懸濁重合を行い, 組成化の異なる多孔性ポリマー粒子を調整した. 得られた粒子は直径約200〜400μmの球状で, 多くの細孔(1.6〜0.3cc/g)と大きな比表面積(約350〜70m^2/g)を有しており, それらはモノマー中のGMAの増加に伴い減少し, グリシジル基の含有量は直接的に増加した. 2.ビリルビン吸着の検討:粒子中の空気を水と置換するためにエタノール中に沈め, その後水に再分散させてから, 模擬血清ビリルビン濃度を黄疸症状とみられる10mg/dl. アルブミン濃度を5.5g/dlに調整)を用いて検討した. 多孔性ポリマー粒子はビリルビンの吸着に極めて優れており, GMAを0〜25wt%含む粒子は90%以上のビリルビンを吸着した. しかし, GMAが増加し, 比表面積が減少するのに従い, その吸着能は低下した. またGMAを10〜40wt%含有する粒子はアルブミンを70〜80%吸着した. 3.ビリルビンの選択的吸着:粒子にビリルビンの選択的吸着能を付与するために, 種々の親水性合成高分子あるいはタンパク質で表面処理を施し, その効果を検討した. ポリビニルアルコールなど合成高分子及びГ-グロブリン, フィブリノーゲンでは, その効果は認められなかった. しかし, アルブミン処理ではビリルビン吸着能はわずかに低下するが約80%以上の吸着率を保持すると共に, タンパク質などの血清中の有効成分の吸着はほとんどおこらず, ビリルビンのみを選択的に吸着し得ることが判明した. このことは, 実際の血清に対しても確認された. 4.酵素の固定化:文献調査及び予備的な検討を開始した.
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