1.ビリルビンの選択的吸着機構の解明 (1)アルブミンの物理的吸着量の影響:多孔性ポリマー粒子を種々の濃度(0〜10g/dl)のアルブミン水溶液で表面処理し、粒子表面にアルブミンを物理的に吸着させた試料のビリルビンの選択的吸着能について検討した。その結果、模擬血清中のビリルビンに対する選択的吸着能は、処理濃度に大きく依存し、模擬血清中のアルブミン濃度と等しい濃度の処理溶液を用いて処理した際にアルブミンの吸着が最も抑制された。 (2)アルブミンの固定化の影響:種々の処理溶液を用いてアルブミンを多孔性ポリマー粒子に物理的に吸着した後、グルタルアルデヒド溶液(25%)で処理し、アルブミンを架橋固定化した試料についてビリルビンの選択的吸着能を検討した。その結果、過剰の架橋固定化は吸着したアルブミン物性を大きく変化させるが、吸着させたアルブミンの吸着量に関係なく、模擬血清中の約60%のアルブミンを吸着した。次に固定化剤のグルタルアルデヒド濃度を変えて(0〜6×10^<-5>mol/dl)アルブミンの架橋固定化度の影響を見た。その結果、ビリルビンの吸着濃の低下はみられないが、血清中の有効成分であるアルブミン吸着は架橋固定化度に比例して増加した。以上のことから、ビリルビンは単独または間接ビリルビン(ビリルビン:アルブミン=3:1のcomplex)の状態で直接吸着することが示唆された。 2.酵素類の固定化:過酸化物分解酵素のカタラーゼを固定化し、その効果を検討した結果、この酵素活性は低下するものの再使用の可能なことが判明した。セルロース分解酵素であるセルラーゼについてはその効果が認められなかった。 3.抗血栓性材料:現在IPN(Interpenetrating Polymen Network)の系について検討中である。
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