機能性高分子としての多孔性ポリマー粒子は、大きな表面積と特異な物質吸着能を有するため、生体関連物質の吸着、分離に高い関心が寄せられている。本研究はジビニルベンゼン(DVB)・グリシジルメタクリレート(GMA)系の多孔性ポリマー粒子を調整し、血清中の代謝産物であるビリルビンの吸着挙動を調べると共に、その選択的吸着を達成させる目的で行った。 (1)多孔性ポリマー粒子の特長:調整した多孔性ポリマー粒子はほぼ球形であり、DVB100では350m^2/gの大きな比表面積及び1.6ml/gの大きな細孔容積を有していた。また、モノマー中のGMA比の増加に伴い、比表面積と細孔容積は共に減少した。 (2)ビリルビンの吸着挙動:ビリルビン単独溶液に対し、非常に優れた吸着能を有し、その吸着様式はLangmuir型であった。しかしながら、人血清ではタンパク質のような有効成分を同時に吸着した。 (3)血清中ビリルビンの選択的吸着:多孔性ポリマー粒子を予め、タンパク質(アルブミン、γ-グロブリン、フィブリノーゲン)、特にアルブミンで表面処理することによって、血清中の有効成分を吸着することなく、ビリルビンを選択的に吸着しうることが明らかになった。さらに、ビリルビン以外の有毒な、GOT、GPTのような成分を同時にある程度吸着できることが判明した。 (4)粒子上に吸着したアルブミンの固定化の影響:模擬血清中のビリルビンに対する選択的吸着能は、物理吸着したアルブミンの濃度に大きく依存する。グルタルアルデヒドにより吸着アルブミンを固定化することにより、その脱着は抑えられ、なおかつビリルビンの吸着能は低下しなかった。従ってビリルビンは、単独又は間接ビリルビンの状態で吸着されるものと考えられる。
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