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1987 年度 実績報告書

高分子のグロビュール形成とその内部構造に関する統計力学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 62550645
研究機関東京農工大学

研究代表者

田中 文彦  東京農工大学, 工学部, 助教授 (50107695)

キーワードグロビュール / 水素結合 / 会合 / 絡まり合い / 超らせん / 環状ポリスチレン / 架橋 / 相転移
研究概要

溶液中で高分子が, 拡がったランダムコイル状態から, 引力的相互作用により緊密に折りたたまれた粒状分子(グロビュール)に移転する現象をコイル・グロビュール転移と言う. 一口にグロビュールと言っても, その生成のメカニズムにより異った空間構造を持つ. 凝集の主な原因として
(1) Van der Waalsの力
(2) 飽和性化学結合(水素結合, 硫黄結合など)
(3) 溶媒との親和力(疎水性相互作用, 混合溶媒など)
(4) トポロジー的相互作用(絡まり合いによる力)
(5) 静電相互作用(双極子, 電解質など)
(6) 溶媒の流れの効果
などが考えられる. 本研究では以上の順に, それぞれの相互作用の特性と, 結果的に出現するグロビュールの内部構造との関係を個別に調べることが目的であった. このうち, 本年度は(2)〜(4)を中心に研究を進めた. (2)では主として水素結合で分子内架橋された網目構造のグロビュールについて, その生成条件を求めた. 主鎖上に適当に間隔をおいて結合性のある側鎖を持つ高分子では, 温度変化で転移が起こる可能性を示したが, 現在未だ実験では観測されていない. 分子間架橋で会合体が形成される場合の, 溶液全体の性質を研究中である. (3)については, 溶媒の混合, 他種高分子の添加の効果を調べた. 以上の研究成果について, 物理学会誌上で解説を行った. 高分子鎖の絡まり合いによる相互作用(4)についても, その基本的特性と同時に, 分子形態への影響を, 生体高分子の例で調べた. DNAにみられる超らせん構造はその代表的なものである. 超らせんのエネルギー, 安定性, 振動などについて統計力学的視点から調べた. 環状ポリスチレンの溶液物性を研究中である. (5)(6)は今後の課題.

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] H. Ushiki;F. Tanaka;S. Sakanoue: European Polymer Journal. 23. 323-326

  • [文献書誌] 田中文彦: 日本物理学会誌. 42. 316-321 (1987)

  • [文献書誌] F. Tanaka: Journal of Chemical Physics. 87. 4201-4206 (1987)

  • [文献書誌] A. Matsuyama;F. Tanaka: Journal of Physical Society of Japan. 56. 3961-3969 (1987)

  • [文献書誌] 田中文彦: 日本物理学会誌. 42. 194-200 (1988)

  • [文献書誌] F. Tanaka;H. Ushiki: Macromolecules. 21. (1988)

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公開日: 1989-03-20   更新日: 2016-04-21  

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