研究概要 |
サーモトロピック液晶性ポリペプチドの合成とコレステリック液晶構造特性について調べ以下の点を明らかにした. (1) 従来, リオトロピック・コレステリック液晶のみを形成すると考えられてきたポリペプチドを, 適当な側鎖修飾(分子内溶媒効果を満たすべき十分に長い側鎖を付加すること)で, サーモトロピック・コレステリック液晶性ポリペプチドに変換できることがわかった. (2)ポリペプチド・サーモトロピックコレステリック液晶のコレステリックらせんピッチ(P)に及ぼす種々の因子(化学構造, 温度など)について検討した. とりわけピッチの温度依存性は興味深く, 広い温度域(100°C〜250°C)で調べた結果, 次式で説明できることがわかった. 1/P=a{(T_N/T)^b-1} この式はTiでのらせんセンスの逆転またピッチの逆数と温度との非線形関係を示す. また, a, b値はコレステリック層間距離(d)に依存し, 前者はdの増大とともに減少し, 後者は増大するという一般的な傾向が認められた. (3) ポリペプチド・サーモトロピック液晶では, グランジャン単一ドメイン組織を容易に調製でき, またそれを完全に固定化できることがわかった. らせんピッチは温度に対して著しく変化することは上述したとうりであるが, そのためどのような大きさのピッチのコレステリックらせん構造も固定化が可能となり, らせん構造に関連する光学特性の幅広い応用が可能となった.
|