研究概要 |
本年度は, まず研究環境の整備から始めた. 主な点を述べると, (1)16ビットコンピューターの導入により相関関数解析の高速, 高度化(2)逆ラプラス変換の簡素な方式の開発(3)時間分割方式の相関関数測定を可能とする為の4ビットコリレータの設計・製作(4)吸収のある着色した試料についても充分な精度S/Nを確保でき様に, Ar^+レーザーによる光散乱装置以外に, より長波長のHe^-Neレーザーを用いた光散乱装置の開発・製作・等である. 以上4点は既に完成しており, 次年度での活躍が期待できる. 更に, 半屈曲高分子の回転拡散係数を独立に決定するための電気複屈折装置の製作を予定てけおり, これと相関関数の散乱角度依存性とをくみあわせることにより, 半屈曲高分子のより高度の解析が期待される. 次に, 研究内容の具体的な点について述べると(1)コラーゲンを用いた半屈曲高分子のキャラクタリゼーション及び分子内運動の解析と, 種々の理論の検討, (2)共役結合をもち半導体的性質をもつ導電性高分子のキャラクタリゼーション, (3)特異な熱特性を示す高分子について, その熱特性とコイル・ブロブュール転移の解析, 等を行なってきた. 又, 更には, 半屈曲性が予想されるPDcPF,PDcHFという高分子について, 分別を進め, 本格的な測定・解析の準備をすすめてきた. (1)では, 以前に進めてきた合成高分子系での研究に於る分子量分布の問題を解決できた事により, 相関関数の高度の解析が可能となり種々の理論の詳細な検討ができた. (2)では導電性高分子の解析から極めて大きな分極の異方性という特徴が見いだされた. 吸収帯が光源波長に近い為, より長波長光源を用いた装置の必要性が示された. (3)では, コイル・ブロブュール転移を追跡することにより, その熱特性との関連を検討しており, 現在注目されているこの分野の研究に, 新しい光を投じる事が予感され, 次年度に更にくわしい研究を予定している.
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