1.既に剛体棒状高分子の動的光散乱スペクトルについては、理論・実験両面から我々によりその詳細が確認されてきたが、半屈曲性高分子系についても〓の小さい領域では、そのスペクトルの定量的評価が充分できる事が明らかとなった。特に、単分散コラーゲンを用いる事により、動的光散乱から分子の特性解析が可能である事が見いだされた。次の課題は、中程度の屈曲性の場合、及び準濃厚系での検討であり、これによりランダムコイルから剛体棒迄のキャラクタリゼーションが可能となる。 2.電導性高分子の一様のポリアリレン系について、その光学的性質を検討した。共役結合を分子内にもち剛直な構造が予想されるこの系が適当な溶媒には可溶でかつ極めて大きな偏光解消度を持っている事、又分子量との関係から半屈曲高分子として取扱える事が明らかとなった。 3.特異な感熱応答特性を示すN-置換ポリアクリルアミド系について、その溶液物性が検討された。良溶媒状態では通常の無極性高分子と同様の挙動を示し、貧の状態では濃度分子量によらず相転移する事がみいだされた。この転移のプロセスが、コイル・グロビュール転移である事又これに引き続いた疎水性相互作用に基づいて相分離がおこるという事がみいだされた。又、主鎖に置換基を導入する事により鎖のかたさが変化し、相転移挙動にヒステリシスが現れる事がわかった。 4.リン脂質2分子膜ベシクルの一典型のDPPC系についてその転移のプロセスが光散乱法で検討された。この系は、これ迄多くの矛盾する報告がなされていたが、単分散試料を得る事により、この相転移の挙動が、ベシクルのサイズ及びサイズの分布の大きさに大きく依存している事が明らかとなった。そして、これによりこれ迄の矛盾した結果が、統一的に説明できる事がみいだされた。 5.測定システムとして、コリレーター及び電気複屈折測定装置を作成し、回転拡散係数の決定を行える様になり解析能力のグレードアップを行った。
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