研究概要 |
本年度は装置の作成と予備測定を行なった. 装置の構成は次のようにした. 試料は螢光セル中に入れ, 細く絞ったレーザー光で照射する. (レーザーは現有の2mWアルゴンイオンレーザーを使用した. )レーザー光と直角な方向への螢光を2つのピンホール及びレーリー光を除くためのロングパスフィルターを通して光電子増倍管(浜松フォトニクスR464)に導き光電子パルス列に変換する. このパルス列はフォトカウンティングユニット(浜松フォトニクスC1050)によりディスクリミネーション, 波形整形され, TTLレベルのパルス列として相関計に入力される. 本実験で使用する相関計は準弾性光散乱測定で使用される装置ほど高速である必要はなく, むしろ微弱なシグナルを長時間積算する必要があるのでマイクロコンピュータを利用した装置を自作した. 入力パルス列は2つのカウンタICで交互にカウントされる. 一方がカウント中に他方のカウンタの内容はマイクロコンピュータに取り込まれ, バッファメモリに書き込まれる. バッファメモリが一杯になると取り込まれたデータは割り込みによりホストコンピュータへ転送されるので, マイクロコンピュータも2台交互に動作するようにしている. ホストコンピュータは相関関数を計算して結果を定期的にディスクへ出力する. 今回作成した装置はチャンネル幅0.1ミリ秒まで測定可能であり, 20Hz程度の入力パルス列にたいしてはほぼオンラインで測定及び相関関数の計算が可能である. 現在はフルオレッセイン及び螢光基をふくむポリスチレン球を試料として予備測定を行なっている. もっとも問題になるのは, 微小な体積からの螢光を測定する必要があり, 信号強度が非常に弱いためS/N比が小さく, 有意のデータを得るには測定時間が非常に長くかかることである.
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