研究概要 |
本課題では, 強磁性体微粒子として超微粒子ニッケル・ジンク・フェライト(平均粒子径, 15mm)を選び, 粒子表面のグラフト化及びその分散液の磁気に対する特性を調べた結果, 以下のような研究成果が得られた. 1.フェライト表面を〓-アミノプロピルトリメトキシシランや〓-メルカプトプロピルトリメトキシシランで処理して, アミノ基やメルカプト基を導入したフェライトとCe^<4+>とを組み合せた系で, アクリルアミド(AAm)のラジカルグラフト重合が開始され, 粒子表面へ効率良くPAAmがグラフト(グラフト率, 15〜20%)することを見い出した. 2.フェライト表面をトリレンジイソシアナートで処理して, イソシアナート基を導入後, 4, 4'-アゾビス(4-シアノバレリン酸)で処理して粒子表面へアゾ基を導入した. ついで, このアゾ基を導入したフェライトを開始剤に用いて, メタクリル酸メチル(MMA)やスチレンなどの重合を行うと, アド基の熱分解で粒子表面に生成するラジカルから効率良くこれらのポリマーがグラフトすることがわかった. とくに, MMAの重合系では, グラフト率が80%を越えるものが得られた. 3.フェライト表面の水酸基と末端にイソシアナート基を持つポリプロピレングリコール(PPG)との反応により, 粒子表面へPPGがウレタン結合を介してグラフトできることを見い出した. フェライト表面へのグラフト率に及ぼすPPGの分子量の効果について検討したところ, PPGの分子量が大きくなる程, グラフト率も増大することを明らかにした. 4.上記の方法で合成したポリマーグラフトフェライトは, いずれも適当な分散媒中へ安定に分散することを見い出した. また, PMMA-グラフトフェライトをテトラヒドロフラン中へ高濃度で分散させた分散液は, 磁性流体と類似の挙動を示すことがわかった.
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