研究概要 |
1.タイ, ビルマ産ウルシより新しく見いだされたw-フェニルアルキルレゾルシノール及びフェノール類の合成を検討した. 側鎖部分はクロスカップリング反応を利用してフェニルアルキルアルコールの新しく簡便な合成法を開発した. この方法を利用してw-フェニルアルキルブロミドを合成し, これとベンジルスルホンのアルキル化反応, 脱スルホン, 脱メチル化反応を経て目的の新規化合物を合成した. 2.日本, 中国産ウルシリピドの主成分である側鎖にトリエンを持つウルシオール類はこれまでに三種類見いだされ, その立体構造も解明されている. しかしながらこれらはスペクトル分析によってその構造が検討されたのみで天然と同一の立体構造を持つウルシオール類はいまだ合成されていない. ウルシの重合過程の研究や生理活性(かぶれなどの)研究の方面からもこの実現が期待されている. そこでベラトロールのアルキル化反応, そののち側鎖の酸化反応によりマルデヒドを合成した. これと立体選択的wittig反応によりベラトロールの3位にトリエン側鎖を持つ, 三種類のウルシオールジメチルエーテルを合成した. これらを高分解能NMR(FT-270, 400MHz)で詳細に側鎖の構造を検討したところ, いずれも天然と同一の立体構造を持つ化合物であることを確認した. この研究をもとにカテコールの水酸基の保護を種々検討したところアセタートが適していることがわかった. そこでメトキシ基をアセタート基に換えて検討した. その結果, cis,cis,vinglを側鎖に有するカチコールジアセタートを合成することができた. これを水素化リチウムアルミニウムを用いてアセタートを還元脱離することにより天然型のトリエンウルシオールの一つを合成することができた. 残りの二つのトリエンウルシオールの合成についても検討中である.
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