1.DMA方式による超微粒子静電分級の試み 昨年度開発した単極性イオン双方向荷電装置(円筒型ボクサーチャージャー)を用いて気相反応法で生成した窒化珪素の超微粒子の高温静電分級を試みた。昨年は荷電ゾーンと泳動ゾーンが一体の静電捕集装置であったが、本年はこれを分離し、静電泳動用の直流印加電圧を独立で制御した。粒径のよくそろった数10nmの窒化珪素超微粒子を生成し、生成直後に強制荷電し、その後直流電界で静電泳動させ、印加電圧と捕集板上の粒子沈着位置の関係を検討した。印加電圧が高いと粒子の半径方向の静電泳動速度が大きくなるので、粒子は捕集部の入口に近いところでほとんど捕集されてしまう。ところが、印加電圧を低くしていくと静電泳動が小さくなるので、粒子の沈着位置は流れの下流側に移動する。このことにより泳動電界強度を制御することにより高温静電場においても超微粒子の運動を制御することが可能であることがわかった。粒子荷電装置であるボクサーチャージャーから発生するイオン源の密度を変化させると、静電泳動電界の強度が同じでも粒子沈着位置が変わり、ボクサーチャージャーにより粒子の荷電効率が制御でき、DMA方式で高温場で超微粒子の分級が可能であることが示唆された。ただし、ボクサーチャージャーの電極壁面への粒子の沈着は著しく、実用的にはこの対象を講じる必要がある。 2.金属超微粒子の静電分別回収 塩化第1鉄と水素ガスの気相反応で生成する鉄の超微粒子の高温(850℃)静電捕集を試みた。低温捕集では回収鉄粒子に未反応の塩化鉄粒子が10%以上も混入するが、高温では塩化鉄が気体であるので静電捕集された鉄超微粒子に対する塩化鉄の混入は0.1%以下に抑えることができた。
|