研究概要 |
流路内の伝熱促進実験装置をアクリル板を用いて, 可視化実験も可能なダクト(50×60mm)を作製した. 実験は促進体の形状を2種類(短形, 三角柱形)変えダクト内での配置条件及び装置定数(促進体ピッチ, 高さ, 促進体と壁面とのクリアランス)を変化させて, 局所及び平均物質移動係数をフェリーフェロシアン化カリの酸化還元反応を用いて測定した. 流れは乱流状態で, その速度分布をはかり, アルミ粉末トレーサ法による流れの可視化実験を行ない, フローパターンを明らかにした. その結果, 2種類の促進体とも, いかなる装置条件に対しても促進体間の局所物質移動係数はフローパターンに対応しており, すなわち壁面上の乱れの大きい所では, より移動係数が促進され, 淀み点では小さくなっている. 流れは促進体間ピッチによって壁面への再付着の有無により2つに分類された. 促進体と壁面との間のクリアランスは無次元クリアランスを用い, 3つに分類され, それぞれ特長あるフローパターンがみられ, 伝熱促進機構を物質移動実験から定性的に説明することができた. 装置設計のための経済的考察を行なうための基礎となる流体摩擦損失をも調べ, 等ポンプ動力基準のもとに平均物質移動係数の増大と摩擦損失の相関から装置性能評価を試みた. 一般に, 三角柱の横置きタイプ, 促進体の設置が高さの7倍以上でかつ, クリアランスのないもの及び, 乱流のレイノルズ数の小さい所(遷移域)が最も性能比がよかった.
|