研究概要 |
超LSI製造工程などにおける製品不良率をできるだけ低く抑えるために硬度な正常空間を造り出すことが重要であると同時に, 空気中の微粒子の製品表面への沈着をできるだけ少なくする工夫が必要である. そのためには, まず粒子の表面への沈着機構を明らかにしなければならない. 本研究では, 現在量産体制に入りつつある, 1MbitLSIの制御対象粒径である0.1um前後の超微粒子に着目し, 0.02〜0.3umの範囲の単分散NaCl粒子を発生させ各種材質壁への粒子沈着量を実測した. すなわち, 本年度は壁として円管壁を取り上げ, 銅, アクリル, 塩ビ, ポリエチレン, ポリプロピレン, ガラス管に粒子の帯電状態を, 帯電数0, 1, 2の三種類に調整したエアロゾルを流し, 管入口および出口粒子濃度から粒子透過率を求め, 壁への粒子沈着速度に換算した. その結果, 粒子沈着速度は粒子が帯電しているか否かにより著しく異なり, 無帯電粒子の場合, 管材質によらず, 円管内のブラウン拡散沈着に関するGarmley&Kennedyの式で沈着量がほぼ推定でき, また帯電粒子では, 導体である銅管を用いた場合は, 静電気効果はなく, 上記ブラウン拡散沈着の式に従うが, アクリル管など材質が合成樹脂の場合は, 沈着量が極端に多くなり, すべての帯電粒子の壁沈着速度は, 壁表面が帯電していると仮定して得られたクーロンカパラメータでまとめられることがわかった. 次に, シリコンウエハ表面での粒子沈着量と表面附近でのエアロゾル濃度との関係を明らかにするため, 水平に置かれたウエハに垂直下方にロダミンBエアロゾル粒子(粒径0.05〜0.3um)を長時間(数時間〜数日)流し, 濃度とウエハ表面上の沈着量を蛍光分光光度計で推定した. 実験は, 粒子帯電数, ウエハ表面電位, 粒径を変化させた. その結果, 粒径0.1um附近に沈着量の最小値が存在し, 理論の予測と合致することがわかった. これについては, 来年度も研究を継続して行う.
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