研究概要 |
パイロットスケールでの局所液分布の測定に先立ち, 本年度は予備的実験として直径120mm, 高さ1000mmの充填層により, 気液を下向に並流で流した場合の局所液分布を測定した. 局所液分布の測定は, 微小な白金板電極を層内に10対設置し, 極板間の電圧変化をスキャナ(Keithley社製)で順次切換えて測定した. この結果, スキャナで切換えても安定して電圧の測定が可能なこと, 予め作成した検量線によって電圧を液の飽和度(ホールドアップ)に変換できることなどが明らかとなり, 本法による局所液分布の測定が可能であることがわかった. なお, データ解析にはコンピュータを用いた. 充填粒子として工業用成型触媒粒子と比較のために球形ガラスビーズを用いた. 現在使用中の液分配器では, 低液流量のとき液を層内に均一に供給することができるが, 高液流量のときやや不均一になることがわかった. しかし, 工業用触媒粒子を充填した場合, 層高300〜500mmで液が均一に分布することがわかり, 仮に層入口で液がやや不均一に分布して供給されても層内で均一化の方向に挙動し, 実用上は問題が少ないことがわかった. これは, 工業用触媒は成型体であるとともに, 多孔質であり, 毛管吸引力などにより粒子内部の保水能力があり, 非多孔質のガラスビーズに比べて液の均一分布にとって有効であると思われる. 粒子と粒子の接点付近に形成される液膜が, 局所液分布に重要な役割を果すので, コンピューターにより平行円柱間に形成される液膜形状の数値解析を行った. この結果によると, 粒子間距離を大きくすると, 液膜の上部と下部の形状が異なり, 重力の影響が大きくなっていることを示した.
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