研究概要 |
(1)本研究の目的は, 光学異性体のクロマト分割における溶離液として, 超臨界流体および液化ガスを用い, その分離性能と溶媒特性との関係を実験的に明らかにし, クロマト分離技術の新しい可能性を探ることであった. (2)既存の拘束液体クロマトグラフを改造し, 超臨界流体を流せるようにした. 改造したクロマトグラフを用いて次の系に対する溶媒効果を検討した. カラム:セルローストリフェニルカルバメートをシリカゲルに担持. 溶質:トランススチルベンオキシド(1__〜), 1-(9-アンシリル)-2, 2, 2-トリフルオロエタノールのラセミ体. 溶離液:液化プロパン(0, 25, 40°C)および超臨界二酸化炭素(40°C), 液化二酸化炭素(0, 25°C)にエントレーナーとしてアルコールを混合. (3)プロパンおよび二酸化炭素は表面への吸着力が弱く, 単独溶媒では溶質が強く保持されて溶出してこない. どの場合もアルコール濃度を増やすと保持容量(k′)が短くなり, 分離係数(α)は若干小さくなったが, これはヘキサンナアルコール系の溶離特性とほぼ同じであった. (4)カラム圧力を10MPaから25MPaに上げると, プロパン+アルコールおよびCO_7+アルコール系ではどちらもk′がかなり小さくなり, αは若干小さくなる. 保持容量k′の圧力依存正は, 予期されたように, CO_7の方が大きかったが, これは溶質の溶解度が圧力とともに増加するためである. (5)光学分割に用いたカラムの光学識別は吸着エネルギーの大小によって支配されており, 40°Cよりも0°Cの方がαが大きくなる. したがってαを大きくするために温度を下げ, 溶離時間を早めるために圧力を上げれば, 分離度を下げずに分析時間を短縮することができる.
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