研究概要 |
1.新たな知見, 成果 (1)発泡ポリウレタン(PUFと略す. )を厚み1mm程度の平板状に成形して2mmの隙間を保ってVero細胞を付着させたディスク状PUF充填層培養すると, 10^8個/mlの高密度培養ができた. これは, 粒子状で充填層培養する場合の10倍の高密度であり, 生体組織の10^9個/mlにかなり近付いた. PUFは低コストなうえに, 高密度培養が可能なので, ホローファイバー培養に対抗できることが示唆された. (2)マイクロカプセルに封入したMPC-11細胞を静置培養すると, マイクロカプセル内の細胞数が少ないうちは, 対数増殖期の倍加時間は20時間と短く, 膜抵抗の影響はなかった. また, テーパー付き液噴流層でマイクロカプセル封入細胞の物質移動をスムーズに行いながら液噴流層培養可能であることが示唆された. 今後さらに安定した増殖の再現性を向上させる予定である. (3)気泡塔の内壁にシリコングリースを塗布することによって培地中の血清タンパクによる発泡を抑えて酸素吸収を行うことに成功した. 増殖に対するシリコングリースの毒性は認められなかった. 2.今後の研究の展開に関する計画 (1)PUF粒子充填層, 酸素供給, 培地交換, 細胞分離等の機能を組み込んだ培養方式を検討する. (2)マイクロカプセルについても上記と同様のことを行う. (3)マイクロカプセルの大量製造のための微粒化ノズルの検討を行う. (4)高密度培養では連続的に培地交換してもアンモニア濃度が上昇することは避けられないことが確認されたので, 今後, 透析モジュールを培養系に導入して培養のさらなる高密度化をはかる予定である. (5)最適と判断された培養方式を用いて最適設計条件, 最適操作条件の探索を行い, 必要かつ可能な限りの自動制御を導入し, 実験室スケールとしての最適培養方式を完成させる.
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