研究概要 |
補助金備品費をアルゴン・イオン・レーザーの購入に充当し, 既設機器, 回折格子, 光電子管, スペクトル・アナライザー, 他, 光学部品を用いて, 1)熱励起界面張力波測定装置を作製した. 一方, 独立学方法で吸着物質の界面濃度を測定し, 1)の方法による測定の信頼性を押えるため, 2)ウィルヘルミー・プレート法による界面張力の測定装置, および3)吸着物質の層厚みを測定するための偏光解析装置を作製した. 1)については, 水-nヘプタン系の界面張力波の測定を行ない, 検出波の自己相関関数を求め, 界面張力波であると思われる波を観測した. しかし, 空気中エアロゾルによると思われる雑音のため, その周波数, 減衰率などの特定に致っていない. 2)の測定については, 親水基の異なる3種のリン酸系抽出剤を溶質とした水-nヘプタン系について, 界面張力を測定し, 界面濃度を推定した. その結果, i)抽剤が界面で低濃度域で単分子層, 高濃度域で多分子層を形成している, ii)吸着平衡は親水基の数に依存する, iii)界面飽和濃度は疏水基の大きさに依存する, などの知見を得た. 3)の測定については, 上記2)の2相系について, 吸着層の厚みの測定を試み, 単分子層飽和域における層厚みが, 疏水基の大きさの順に, 10〓, 14〓, 18〓の程度であるという知見を得た. なお, 本結果の一部については, 化学工学協会第20会秋季大会にて講演した. 今後, 1)〜3)の実験を平行遂行し, 実測値の蓄積を重ね, 界面における活性物質の挙動を明らかにしていければと考えている.
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