液々異相界面では分子の熱運動によるゆらぎとこれを抑制しようとする分子間力によって微少な界面張力波が生じている。本研究では、レーザー光散乱法による界面張力波の検出を試みた。 アルゴンイオンレーザー(波長488nm、出力0〜150mW)の光束を回折格子(格子定数;3.5μm)とレンズにより主光と参照光(第1回折光)に分け、両者をセル内に設定された液々界面で交差結像させる。主光は界面で、その波長と入射角および張力波の波数によって決まる方向に回折・散乱され、参照光とコヒーレントに重なり検出器に入光する。1kHz以下のノイズ波はハイパスフィルターにより除外された。界面波の信号は光ヘテロダインによって増幅され、その電位はスペクトルアナライザーによって実時間で収録され、その自己相関関数として記録された。 上記実験について、レーザー光の出力および主光と散乱光の強度比に着目し、出力0〜150mWの範囲、NDフィルター(400、8、4、2)を用い、種々の条件下で試行を繰り返した。その結果、レーザー出力を150mWとし、参照光の強度をフィルターで1/6400(ND400+8+2)〜1/51200(ND400+8+8+4)に減光することにより張力波の検出が可能であることが明らかになった。 水ーnヘプタン、水ーベンゼン系(温度20.5℃)について、レーザー出力150mW、参照光1/51200減光で実験を行い、それぞれ、波数51600[1/m]、振動数3447[Hz]、減衰率2480[1/sec]、および振動数3875[Hz]、減衰率1920[1/sec]の界面張力波を検出した。 界面張力の値は、流体力学的考察によって、張力波の波数、振動数、減衰率などと関数関係にあることが導かれる。現在、界面張力を推定するためのデータの解析法について検討している。
|